介護職員の人手不足が深刻である。
昨年12月の有効求人倍率は2.68倍と需給のアンバランスは著しく、超高齢社会の進展で、
厚生労働省の推計では、団塊の世代が75歳以上になる25年度には、30万人の職員が不足するという。
介護現場で働く職員は177万人(2013年度)で、この5年間で50万人近く増加した。
それでも人手不足感が拭えないのは、職員増を上回るペースで介護へのニーズが高まっているためである。
働き手確保の最大のネックとされるのが、賃金の低さだ。
これまで、介護職員の月給は「全産業平均より約10万円低い」と指摘されてきた。
厚労省は昨秋、賃金水準をより正確に比較するため、元の調査から年齢や勤続年数などの
影響を除いたデータを作成した。
その結果、女性介護職の賃金は、スーパーのレジ担当者や販売店員より上で、看護師や理化学療法士より下。
男性は、おおむね他職種より低水準で、特に40歳以降で低さが目立った。家族を養いながら、
長く働ける賃金体系を整える必要があることが分かる。
仕事のマイナスイメージを変えていくことも重要である。
就職情報会社「リクルートキャリア」の昨年の調査では、社会人と学生に「無資格・未経験でも始められる」
「半数の会社は残業がない」など、長所も含めた仕事の特徴を説明する文章を読んでもらうと、
介護業界を就職先と考える人が16.4%から28.8%へ倍増したという。
(2015年2月27日 読売新聞より抜粋)