町工場で働く若い男性を「ゲンバ男子」と呼び、製造現場で働く男の魅力を伝える
大阪市の中小企業支援拠点「大阪産業創造館」の試みが反響を呼んでいる。
昨年10月には求人サイトが参加し、サイト内のゲンバ男子コーナーから「製造業職種」
の求人情報コーナーにリンクする仕掛けができ、中小企業の採用を後押し。
働く女性も参加する「モテるユニホーム開発会議」も活動を始めた。
「きつい」「汚い」「危険」の3Kイメージから、かっこいい製造業へのイメージ転換。
若者を呼び込めるか注目される。
①求人サイトとコラボ
「ゲンバ男子」を広告塔として同席させたら、
大手志向の学生も立ち止まってくれるようになった。
製造現場で働く若い男性の魅力を紹介する同館の特設サイト「ゲンバ男子」で
紹介された従業員を合同企業説明会に連れて行った某鋼板加工業の社長は、
採用の手応えを感じ始めた。
これまで求人を出しても応募がほとんどなかったが、ゲンバ男子をきっかけに
テレビ番組で会社が紹介され、平成26年春は新卒女性2人が入社した。
ただ、多くの中小企業では採用難が続く。産創館は、ゲンバ男子に興味をもった
若者を中小企業の採用に結びつけようと昨年10月、求人サイトなどとともに
「日本のモノづくりを担う若手採用を応援するプロジェクト」を開始。
②モテる作業着
ゲンバ男子の企画が誕生したのは25年10月。同館のチーフプロデューサーが
「製造現場の3Kイメージを変えてくれるカッコイイ男子を紹介したい」と
スタートした。
製造現場で働く若者100人を取材し、同館発行のビジネス情報誌に掲載するとともに、
同館のサイトでも紹介。鋼材の曲げ加工や、ワイヤロープの手編み作業、溶接、円盤の
切断加工など技術の現場もクローズアップしている。
また、プロジェクトをきっかけに「職場をかっこよくするユニホーム」の開発も始まった。
21日には、20代の働く女性と町工場の若手男性社員5人ずつを集めた
「モテるユニホーム開発会議」を立ち上げた。
大阪市内の製造業向けホームセンターも作業着や工具を扱う企業と組んでネット上で
海外ブランドの作業着や安全靴を紹介。製造業のイメージを一新するゲンバ男子流の
コーディネートを提案している。
③職業教育の場を
同館によると、大阪市内の中小の製造業は1万6千社。業種では金属加工や化学が多いという。
生産年齢人口の減少と景気回復で人手不足感が高まるなか、中小企業の採用活動は苦戦。
製造現場で働く若者が急減している。日本のものづくりを支えてきた町工場では、
技術伝承の危機にさらされている。
(2015年1月24日 産経新聞より抜粋)